百怪堂2022年12月9日大えい大えい【オオエイ】 ◯地域 松合町(現・宇城市不知火町) ◯概要 長尾神社台地から北に続く後方高地を鎌戸山といって、丸みを帯びた草原の丘がある。 ここは昔、大きなえいが宇土半島を乗り越えようとして居座ってできたものだという。またこのえいを捕えようとして網を張ったとも云う。こ...
百怪堂2022年12月8日烏賊淵烏賊淵【イカブチ】 ◯地域 八代市二見洲口町 ◯概要 現在、八代市洲口町の民有地にある。淵の上方には鉄漿壷、江尊壷などのくぼみがあり下方に小さな淵がある。昔、この付近は海であったが山上に小池があり烏賊がいたために、高い声を出すと墨を吹く。そのため、水が黒くなると言い伝えられ...
百怪堂2022年12月7日火除けの妙光火除けの妙光【ヒヨケノミョウコウ】 ◯地域 葦北郡湯浦町(現・葦北郡芦北町湯浦) ◯概要 文久初年(1681年)秋頃、葦北郡湯浦町大字丸山字上久の川の某家に薩摩節の流れを汲んだ武士が訪ねてきて一夜を明かした。武士は居心地が良かったのか、大事に腹深く所持していた1巻の書物を出...
百怪堂2022年12月6日蜘蛛女房蜘蛛女房【クモニョウボ】 ◯地域 阿蘇のある村 ◯概要 阿蘇のある村に、とにかくケチな男がいた。年頃になったので、親戚達もそろそろ嫁をもらったらどうかと勧めるが「嫁をもらったら、飯を食わせないといけない。馬鹿らしい話だ。飯を食わない女がおるなら、もらってみても良いよ」と言っ...
百怪堂2022年12月5日あさごぜ婆さんあさごぜ婆さん【アサゴゼバアサン】 ◯地域 阿蘇郡小池村(現・阿蘇市小池) ◯概要 山田の小池村のあさごぜ婆さんは、琵琶を弾くのが上手だった。ごぜというのは琵琶を弾く人のことをいう。 あさござ婆さんの息子は猟が好きで、冬、田畑の仕事がなくなるとよく山へ出かけた。...
百怪堂2022年12月4日三つの火の玉三つの火の玉【ミッツノヒノタマ】 ◯地域 玉名郡南関町 ◯概要 能田太郎氏の弟は町で呉服屋をしている。深夜、その家の表2階のガラス窓から、火の玉が3つも出て墓地の方向へ飛んで行ったのを見たという人がおり、町でもっぱらの噂だった。弟はもう4、5年呼吸器を悪くしてぶらぶらしてい...
百怪堂2022年12月4日変生男子変生男子【ヘンセイナンシ】 ◯掲載誌 根岸鎮衛『耳嚢』に載る。 ◯地域 天草郡大浦村(現・天草市有明町大浦) ◯概要 肥後国天草郡大浦村(熊本県天草市有明町大浦) 文化3年寅(1806年)の夏、肥後国天草郡大浦村の嘉左衛門の娘やなが、26歳で男子になった。江戸城殿中の雑談の...
百怪堂2022年12月3日飯盛さん飯盛さん【メシモリサン】 ◯地域 天草郡崎津村(現・天草市河浦町崎津) ◯概要 昔、赤鞘の二本差しの武士から飯盛さんが追いかけられていた。桶屋の家にたどりつき、「自分は追いかけられているから、追っ手に教えてくれるな。その代わり自分の所持品を全部あげるから」と言って与え、飯盛...
百怪堂2022年12月2日狐石狐石【キツネイシ】 ◯地域 菊池郡錦野村(現・大津町) ◯概要 外牧部落境目の東畑井手にある大きな石である。この石は細川時代にこの畑井手掘削の際、大岩石が横たわって作業上困難であったので、その時の工事関係者が阿蘇大明神に祈願した。すると狐が鳴いて、一夜にして大岩石が転げおち...
百怪堂2022年12月1日左馬ドンの火左馬ドンの火【サマドンノヒ】 ◯地域 菊池郡大津町 ◯概要 明治15、6年頃まで鍛冶村の東方左馬殿塚の付近から、弓立の丘にかけて春と秋の暖かい夕闇にひと塊の鬼火が出た。それが2つとなり3つとなって飛び回り、時には引の水の西の墓所付近まで、あちらこちらにポカポカと見られた。...
百怪堂2022年11月29日揺石揺石【ユレイシ】 ◯地域 菊池郡瀬田村(現・大津町) ◯概要 立野部落の中にあり、この石は健磐龍命が巡視の際、背負っていた籠を降ろしてここで休憩していたところ、その籠が石になったので命はこの石に登って白川筋を眺めたという。...
百怪堂2022年11月26日塩釜様潮釜様【シオガマサマ】 ◯地域 天草郡下浦村(現・天草市下浦町) ◯概要 下浦村の黒川という家の屋敷神は「潮釜大神」である。 同家の今の屋敷は、昔、塩浜であったらしい。ところが今のところに家を建てて、間も無く数十日の間に家の者が引き続き死んだ。そこで易を見てもらったら、この...
百怪堂2022年11月22日金八の森の火の玉金八の森の火の玉【キンパチノモリノヒノタマ】 ◯地域 乙女村(現・甲佐町) ◯概要 昔、武磐竜命に「きんぱち」という忠僕がいた。あるひ、命はきんぱちをお供に狩りに出たが、その日に限って1匹も獲物がなく、山道を帰っていると、1匹の鹿が出てきた。命は、すぐに鹿を射止めてきんぱち...
百怪堂2022年11月20日八頭大龍王八頭大龍王【ヤズダイリュウオウ】 ◯地域 豊秋列村(現・御船町小坂、陣豊秋) ◯概要 御船川は、元は木山川(加勢川)の支流であった。そのため、低地にある六嘉、大島村付近は、毎年雨期になると洪水に見舞われていた。 肥後城主となった加藤清正は、御船川の治水業として新河川の掘削工...
百怪堂2022年11月17日不知火不知火【シラヌイ】 ◯地域 不知火海岸一帯 ◯別名 千燈籠【セントウロウ】 龍燈【リュウトウ】 ◯概要 古く文献上では“不知火”と呼ばれるが、地元では“龍燈”と呼ぶ。 宇土半島南部の村々と八代郡の海に面した地域に渡って、龍燈見る為の一定の場所があり、“龍燈場”と呼ぶ。...
百怪堂2022年11月12日鳴子瀧の大蛇鳴子瀧の大蛇【ナルコダキノダイジャ】 ◯地域 天草郡大道村(現・上天草市龍ヶ岳町) ◯概要 大道村の鴨川の川床には、九十九の巨人の釜があるといわれている。それは昔、100あった。 遠い遠い昔の事、神様がここに棲んでいる大蛇に「お前ここに100だけ井を一晩のうちに掘ったなら、...
百怪堂2022年11月10日鬼神大夫行平作大太刀鬼神大夫行平作大太刀【キシンダユウユキヒラサクオオタチ】 ◯地域 菊池郡平真城村(現・菊池郡大津町) ◯概要 佐藤家の子孫の某が慶長のはじめ頃、娘を家入主馬に嫁がせるときに、3尺1寸(93㎝)の大太刀を引き出物にした。 ある時主馬は帯刀して酒に酔い、平川村の坂で倒れ、夜中に...
百怪堂2022年11月5日石堂様の光石堂様の光【セキドウサマノヒカリ】 ◯地域 菊池郡大津町大津 ◯概要 文応年間1270年、どこからともなく一人の旅僧が来て、17日間正座をした。僧は里人に「我は行脚の僧である。慈氏の下生を待つ。ここは因縁の地であり留まるべし。」と遺言を残して入寂した。その後7日間土の中から...
百怪堂2022年11月2日中白毛滝の怪童中白毛滝の怪童【ナカシラゲタキノカイドウ】 ◯地域 菊池郡瀬田村(現・大津町瀬田) ◯概要 数鹿流滝の下流にある滝で、阿蘇の山師がこの川に木を流すのに、上流の滝は何の支障もなく流れたがこの滝に来て流木が全て滝壺に沈没して一本も川下に流れなかった。翌日、この木を探すため人夫を...
百怪堂2022年10月28日鏡が淵の竜鏡が淵の竜【カネガブチノリュウ】 ◯地域 熊本郡横手町筒口(現・熊本市中央区横手) ◯概要 若い器量のよい人妻がいて、はじめは人のうらやむ程の仲の良い夫婦であった。時が経つにつれ、夫は家を空けるようになり、浮気をはじめた。妻は煩悶の末、ついに発狂して淵に身を投じ水死した。そ...