top of page
検索
百怪堂

あさごぜ婆さん

更新日:2023年9月28日

あさごぜ婆さん【アサゴゼバアサン】


◯地域


◯概要

山田の小池村のあさごぜ婆さんは、琵琶を弾くのが上手だった。ごぜというのは琵琶を弾く人のことをいう。


あさござ婆さんの息子は猟が好きで、冬、田畑の仕事がなくなるとよく山へ出かけた。

ある日のこと、山の中で人の声がする。近づいてみると、人語を話す大化猫だった。今にも飛びかかってきそうだったので、息子は銃を構え、思わず引き金を引いてしまった。手応えはあった。

家に帰ってみると、母親は身体の具合が悪いといいながら布団をかぶって寝ている。

「魚が食べたい」と言うので、買ってきて食わせると大層喜んだが、身体の具合はなかなか良くならず、医者を呼んでも布団から顔を出そうとない。


どうも様子がおかしいので、医者と2人で布団を剥いでみると、大化猫がうずくまっていた。正体を見られた化猫は飛び跳ねて逃げだした。


化猫は、息子に撃たれた傷が痛むらしく、足を引きずりながら坂道を駆け登っていった。

化猫は仕返しに来たのだった。あさごぜ婆さんを食い殺した上、婆さんの声色を使って息子を騙し、油断しているところで襲いかかるつもりだったのだろう。

その後、大化猫はついぞ姿を見せなくなった。この大化猫の逃げて行った坂道を、誰言うともなく“あさごぜ坂”というようになった。


 

◯参考文献

高橋佳也 文・坂本福治 絵『阿蘇の昔むかし 白川の民話』建築省立野ダム工事事務所 1999年

閲覧数:19回0件のコメント

最新記事

すべて表示

若宮さん

若宮さん【ワカミヤサン】 ◯地域 牛深市(現・天草市牛深町) ◯概要 池田の防波堤のある山の麓に、四角柱の石碑がある。 これは池田沖で難破して池田の海岸に打ち寄せられた遺体を葬って、その霊を慰めるために大西家が建立した。...

瓶棺の葛根

瓶棺の葛根【カメカンノカッコン】 ◯地域 下益城郡松橋町(現・宇城市) ◯概要 緒方惟義の家老の墓と伝わる桜の大木がある。墓といっても桜があるのみで、墓石は存在しない。 享保18年(1733)貧民がこの桜の根の葛根を掘ると、瓶棺を抱いた葛根があった。貧民がこれを食すとたちま...

黄金の鳥

黄金の鳥【オウゴンノトリ】  ◯地域 阿蘇郡波野村(現・阿蘇市) ◯概要 一年の中で正月の朝一度だけ、黄金の鳥が飛んできて、ただ一声なくという。この鳥はなかなか一目につかず、この鳥を見た人は目がくらんで「めくら」になるといわれ、誰ひとり見に行こうとする人はいないという。...

Comments


bottom of page