八頭大龍王【ヤズダイリュウオウ】
◯地域
◯概要
御船川は、元は木山川(加勢川)の支流であった。そのため、低地にある六嘉、大島村付近は、毎年雨期になると洪水に見舞われていた。
肥後城主となった加藤清正は、御船川の治水業として新河川の掘削工事を始め、六嘉と小坂の境界付近まで工事が進んだ。しかし数回にもわたり、せっかく築き上げた堤防は大水により洗い流されてしまった。その度に清正公は頭の8つある大きな白竜が、新しい土手を横切って川向こうの山の洞穴の中に入っていく不思議な夢を見たという。
何度目かの工事が完了したある日、朝から雨が降り出し、夜になってますます勢いを増した。河川は渦を巻いて流れ、懸命の防御もおよばず、土手は決壊し流れ去ってしまった。清正公はじめ家臣、人夫まで、その流れの中を大きな白竜が悠々と水煙を上げて泳いでいるのを目撃した。
それから10日程して洪水も治まり、清正公は再び工事に取り掛かった。家来に命じて、夢にみた川向こうを探させたところ洞穴を発見したので、そこに祠を建て、八頭竜王と名付けて農民の多幸を祈ったという。
◯参考文献
『管内実態調査書.熊本編』熊本県警察本部警務部教養課 1961年
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