火除けの妙光【ヒヨケノミョウコウ】
◯地域
◯概要
文久初年(1681年)秋頃、葦北郡湯浦町大字丸山字上久の川の某家に薩摩節の流れを汲んだ武士が訪ねてきて一夜を明かした。武士は居心地が良かったのか、大事に腹深く所持していた1巻の書物を出し、「自分も先老勝であるので、これをお礼に」といって、出がけに、「この書物はこの世に3体しかない御如来(火除けの妙光と言われる神魂である)」と教えて去っていった。
その後、近郷の山に大火が発生した時、唐家の屋棟に数十本の赤旗が立ち、危急を知らせた。家人が直ちに言われた神魂に消火の祈りを合掌し続けたところ、一天俄かにかき曇り、豪雨が集中し鎮火したという。
それから近郷では、木場焼(林野火入のこと)等、火を取り扱うときには必ず当家の神魂に祈りを込めてから火入れをすることとなっている。
◯参考文献
『管内実態調査書第5(城南編)』熊本県警察本部警務部教養課 1962年
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