top of page

蜘蛛女房

  • 百怪堂
  • 2022年12月6日
  • 読了時間: 2分

更新日:2023年9月28日

蜘蛛女房【クモニョウボ】


◯地域

阿蘇のある村


◯概要

阿蘇のある村に、とにかくケチな男がいた。年頃になったので、親戚達もそろそろ嫁をもらったらどうかと勧めるが「嫁をもらったら、飯を食わせないといけない。馬鹿らしい話だ。飯を食わない女がおるなら、もらってみても良いよ」と言ってハハハハと笑っている。


ある日のこと、それは美しい女が訪ねてきて「あなたのお嫁さんにしてください。私は、飯を食いません。野良仕事でも、家のことでも、精一杯頑張ります。お願いです。お嫁さんにしてください」と言う。男は本気にしなかったが、あんまり言うので、嫁にした。確かに、飯も食わないし、なんでも頑張流ので男は不思議に思っていた。


ある日のこと、何気に米びつを覗いてみると、飯をいっぱい入れていたはずが、ごっそり減っている。やはり知らないうちに飯を食っているなと、そう思って、「わしは今から泊まりがけで、隣村まで出かけてくるから、留守を頼むよ。」とそういうと、出かけるフリをした。


男はそっと家の裏手に回って、嫁の様子を伺っていた。しばらく見ていたが、変わったこともない。続いて天井裏に這い上がって下を見張った。

やがて嫁は、大きな釜にいっぱい飯を炊いて、人の頭ほどの握り飯を作った。

嫁が髪の元結を解くと、いつのまにか、大きな蜘蛛の姿に変わっている。頭の上に開いた大きな口で、投げ上げた握飯を受け止めると、かぶりついた。男が驚き、思わずゴクリと唾を飲み込んだ。

蜘蛛は男に気がついたらしく、天井を見上げ、ゴソゴソと這い上がり、「あんた見たのね。わたしの姿。もう少し生かしとこうと思ったが、仕方がない。命はもらった」と言いながら飛び掛かってきた。


男は天井から転がり落ちるようにして逃げ出した。蜘蛛はどんどん追いかけてくる。男は川岸ほ菖蒲の中に逃げ込んだ。


蜘蛛は男が隠れた菖蒲が原にやって来て「そんなとこに隠れても、すぐわかるからね」そう言いながら、男が隠れる菖蒲の間に入ってきた。蜘蛛は長い足で男を抑えると、大きな口を開けて食おうとしたその時、菖蒲の硬くて尖った葉先が、大蜘蛛の目に突き刺さった。

目の見えなくなった蜘蛛は、川に流されて死んでしまったという。


5月の節句のときに軒に菖蒲を刺すのは魔除けの意味があるという。



食わず女房系の異類婚姻譚です。


◯参考文献

高橋佳也 文・坂本福治 絵『阿蘇の昔むかし 白川の民話』建築省立野ダム工事事務所 1999年

最新記事

すべて表示
オトラ

オトラ ◯地域 阿蘇郡小国地方(小国町、南小国町) ◯概要 オトラは赤ん坊のとき大変な泣き虫で手に負えぬ子だった。 「お前のような子はキツネにくれてやるぞ」といって、親が彼女を家の外に押出したところ、そのまま帰って来ず、どうも本当にキツネに育てられた。 全身に毛が生え、皮膚は油紙のようになって、あちこちの村で見かけた人がある。 それでも親の年忌年忌にはゼニサシに一文銭をたくさんさして窓から自分の家

 
 
 
耳なしお地蔵さん

耳なしお地蔵さん【ミミナシオジゾウサン】 ◯地域 板木村(現・球磨郡五木村板木) ◯概要 板木村の鶴崎店の上のところに祀ってある。 耳が痛む時に小さい竹の筒を持って、片方を自分の耳に当て、片方をお地蔵さんの口に当て拝むと、お地蔵さんの息が通って耳の痛みが治るという。 ◯参考文献 金山 正『五家荘の民俗』日本談義社 1955年

 
 
 
若宮さん

若宮さん【ワカミヤサン】 ◯地域 牛深市(現・天草市牛深町) ◯概要 池田の防波堤のある山の麓に、四角柱の石碑がある。 これは池田沖で難破して池田の海岸に打ち寄せられた遺体を葬って、その霊を慰めるために大西家が建立した。...

 
 
 

コメント


bottom of page