百怪堂2022年7月16日けだものが喜ぶ唄けだものが喜ぶ唄【ケダモノガヨロコブウタ】 ◯地域 天草郡牛深村宮崎(現・天草市牛深町宮崎) ◯概要 牛深宮崎に「平蔵どん」と言う片目の爺さんがいて按摩をしていた。この爺さんは、牛深中のことならどんな山奥でも知っていると言われている人であり、また歌の名人である。そして他の者...
百怪堂2022年7月10日御辛労池の主御辛労池の主【ゴシンロウイケノヌシ】 ◯地域 玉名郡八幡村(現・荒尾市) ◯概要 八幡村山間の草道の側に小池がある。享保年間8月1日、ある農夫が鮒やどじょうなどを獲ろうと、土手を落とし、池を干そうとしたが容易には減らない。大勢を呼び、汲み流しても水は尽きなかった。...
百怪堂2022年7月9日白馬の首白馬の首【サメウマノクビ】 ◯地域 阿蘇郡山西村 俵山(現・阿蘇郡西原村小森 俵山) ◯概要 昔、行景天皇が九州地方を征伐された時、俵山の麓にお泊りになったことがあった。近くに湧き出る水があまりにも綺麗なので、用水にされた。その頃から古池どん、池どんの2つの池があったという...
百怪堂2022年7月7日星と墨星と墨【ホシトスミ】 ◯地域 天草郡二江村(現・天草市五和町二江) ◯概要 二江村では、隅なく冴え渡った空に星が輝く夜、顔や体のどこかに墨をつけて落とすのを忘れていると、その者に星が落ちてくるという。 本件は分類としては俗信の様に思いますが、投稿日である本日は七夕と言うこと...
百怪堂2022年7月6日幽霊火の行列幽霊火の行列【ユウレイビノギョウレツ】 ◯地域 天草郡宮田村(現・天草市倉岳町) ◯概要 ある晩、宮田村のせさきという岬角から数十の火が上がり、宮田の寺の方へ続いて飛んでいった。坊さんは夜を徹して大施餓鬼を行なって、夜が明ける頃にやっと納めることができたという。 ◯参考文献...
百怪堂2022年7月5日猫の祟り猫の祟り【ネコノタタリ】 ◯地域 栖本村平木場(現・天草市栖本町湯船原) ◯概要 栖本村平木場の人で、家に飼っている猫を非常に虐待し、遂には残酷にも戸の前に首を挟んで絞め殺した。するとその晩から何か解らぬ病気になりどうしても治らない。...
百怪堂2022年7月4日鼻欠け地蔵鼻欠け地蔵【ハナカケジゾウ】 ◯地域 天草郡佐伊津村(現・天草市佐伊津町) ◯概要 佐伊津村の隅田川に沿って上ること7、8町で、田に面した少し高みに延命地蔵堂がある。諸願霊験あらざるなしと、人々の信仰は実に厚く、その灼然(いやちこ)な事は遠く海を越えて島原までも及ぶという。...
百怪堂2022年7月2日さけん松さけん松【サケンマツ】 ◯地域 天草市五和町御領、天草市佐伊津町 ◯概要 御領と佐伊津の境に”さけん松”というのがある。境の松の佐伊津訛りである。 この松の木に大きな足が下がるというので、ある剛胆な男が、俺が退治して見せると言って出かけた。そして出るときに、うちの者にけして...
百怪堂2022年7月1日猫屋敷猫屋敷【ネコヤシキ】 ◯地域 阿蘇山 根子岳 ◯概要 今の大分県直入郡のある村に、びんつけ屋(頭髪用の油壷)を営む行商人の男がいた。 ある年、行商の帰りに根子岳の麓から阿蘇町に抜ける途中、とっぷりと日が暮れてしまった。困ったナと思っていると、根子岳の山手から何やら人の声がす...
百怪堂2022年6月30日永国寺の幽霊永国寺の幽霊【エイコクジノユウレイ】 ◯地域 人吉市土手町 永国寺 ◯概要 ある夏の夜の事、永国寺の開山(応永16年)・実底は涼を求めて境内の古池の畔を歩いていた。すると、女の幽霊が現れ、「成仏できずに迷っていますから助けてください。」と頼んだ。そこで、住職が事情を聞いてみ...
百怪堂2022年6月27日雲を呼ぶ竜雲を呼ぶ竜【クモヲヨブリュウ】 ◯地域 山鹿市鹿本町下梶屋 綿津見神社 ◯概要 江戸時代の末、文化年間、下梶屋(鹿本郡鹿本町)の隣の部落・袋田に甚三という大工がいた。甚三は後世に残る様な彫刻が彫りたいと、日夜、八竜宮に参拝していた。...
百怪堂2022年6月26日天狗の奏楽天狗の奏楽【テングノソウガク】 ◯地域 鹿本郡鹿本町(現・山鹿市鹿本町) ◯概要 大雨が降ると、必ず日ノ岡山から奏楽の音がする。これは日ノ岡の天狗の仕業であるという。 ある日、日ノ岡に大雨が降って一時はなだらかな美しい山肌が、崩れるのではないかと思われるほどであった。ようや...
百怪堂2022年6月25日千願寺さん千願寺さん【センガンジサン】 ◯地域 天草市有明町 ◯概要 昔、千願寺さんというお坊さんがいた。背中に「おにびつ」という箱を背負って寺々を千個所巡り、修行していたそうだ。 これは、ある一人の千願寺さんの話である。天草の地に渡ってきたのですが運悪く病気になって、とうとうあるお...
百怪堂2022年6月24日切り板切り板【キリイタ】 ◯地域 天草郡御領村(現・天草市五和町御領) ◯概要 御領村のけーくびという所には、夜になると切り板がぶら下がっていて、人がもしそれに突き当たると化かされるという。 下がる怪異です。今回は「切り板」ですが、熊本にはこの他にも類する怪異が伝わっております。...
百怪堂2022年6月23日丸焼きにする火の玉丸焼きにする火玉【マルヤキニスルヒノタマ】 ◯地域 天草郡鬼池村(現・天草市五和町) ◯概要 昔、肥前の人が鬼池村に漁に出た。他国人だと言うので鬼池こ人々が集まって、肥前の男を散々な目に遭わせた。それが元で病気になって死んでしまった。それから毎晩大きな火玉が鬼池に飛んできた...
百怪堂2022年6月22日老松の怪火老松の怪火【ロウマツノカイビ】 ◯地域 玉名郡南関町関町 ◯概要 明治26年の8日、丁度日清戦争の始まる前年、南関町大字関町字城ン原、豪地の上の十年役戦死者の官軍墓地境内にあった老松(周囲2丈余り)が台風で倒れる前夜か前々夜の事。老松の樹上に、幾つかの赤い火の玉が暫くの間灯...
百怪堂2022年6月21日製鉄蟹製鉄蟹【セイテツガ二】 ◯地域 山鹿市鹿本町 ◯概要 鍛冶屋(梶屋のことか?)の小畑に白い岩水の湧く溜りがあって、その水で鍛えた刀は、素晴らしい切れ味を示し名刀を生むというので、その付近には刀鍛冶が多く棲みついていた。村では鍛治屋敷と呼んだ。...
百怪堂2022年6月20日ウグメン子抱かしゅうウグメン子抱かしゅう【ウグメンコダカシュウ】 ◯地域 山鹿市新町 ◯概要 墓原丁には町でも一番古い墓所がある。その中を一本会所の方と、藤井の方に抜けている路が通っている。すぐ先には光運寺というお寺があって、墓石がたくさん並んで建っている。ある晩の事、隣り丁のおよしという若い...
百怪堂2022年6月19日石棺の精女石棺の精女【セキカンノセイジョ】 ◯地域 鹿本町日ノ岡山(現・山鹿市蒲生 日ノ岡山) ◯概要 猪の窪というところに、いつの頃よりとも知らず一つの古墳があった。古墳には墓石もなく、ただ山石が1、2個あるだけであった。 宝暦の初め頃、ある農夫が誤ってその墳墓を壊してしまった。そ...
百怪堂2022年6月18日八つ頭の大亀八つ頭の大亀【ヤツガシラノオオガメ】 ◯地域 鹿本郡鹿央町(現・山鹿市鹿央町千田) ◯概要 昔、茂賀の浦と呼ばれる大きな湖があり、ここを景行天皇がこのを通られた。 お迎えに出た阿蘇大明神が湖を眺めていると、湖の底から呻き悲しんで泣くような声が聞こえてきた。不思議に思って今の...