千願寺さん【センガンジサン】
◯地域
天草市有明町
◯概要
昔、千願寺さんというお坊さんがいた。背中に「おにびつ」という箱を背負って寺々を千個所巡り、修行していたそうだ。
これは、ある一人の千願寺さんの話である。天草の地に渡ってきたのですが運悪く病気になって、とうとうあるお宮で行き倒れの身になってしまった。しばらくは、かわいそうに思って食べ物など世話していた近くの人々も、悪い病気にがうつっては大変だと考えるようになった。そこで若者たちが人里離れた「めぐろの峠」まで担ぎ上げて置き去りにしたという。
お坊さんは慌てて帰っていく若者たちを睨みつけて「ようし、見ておれ、お前たちを呪い苦しめてやる。」と声の限りに叫んだ。そして力を振り絞って赤崎側の麓へ転び下って来たという。体中血に染まったお坊さんを見て、村人は大変驚いた。訳を知った村人は、手厚いもてなしをしてやったが、その甲斐もなく、坊さんはついに亡くなってしまった。それからしばらくして、坊さんの言葉通り大病が流行し、村人たちは罰当たりを後悔したという。
なお、「めぐろ峠」には地蔵様が建っている。そこは県道ができる前の古い街道筋にあたるところで、悪病が持ち込まれない様にという人々の願いが込められていたという。
◯参考文献
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