top of page
検索
百怪堂

雲を呼ぶ竜

雲を呼ぶ竜【クモヲヨブリュウ】


◯地域



◯概要

江戸時代の末、文化年間、下梶屋(鹿本郡鹿本町)の隣の部落・袋田に甚三という大工がいた。甚三は後世に残る様な彫刻が彫りたいと、日夜、八竜宮に参拝していた。

ある夜、龍に襲われる夢を見た事で、神のお告げだと、その日から一心不乱に夢に現れた龍を彫り続け、出来上がった龍は、八龍宮本殿天井に取り付けられた。この時、龍が生きているもののように次第に激しく動き出し宙に躍り上り何日もお宮に戻ってこなかったという。

この出来事から何年か経ったある夏の日、近く竹の花淵で水浴びをしていた村人が、お宮を黒雲が多い激しい竜巻が起こったのを目撃した。それ以降、竹の花淵では誰一人と一匹も魚を釣り上げることができなくなり、良く晴れた日にお宮の床がびしょびしょに濡れていたりという事が頻発したという。

村人たちは「甚三が彫った龍が、お宮から抜け出して竹の花淵に現れている。」と噂し、淵へ近づくものはいなくなった。そこで、村人たちは、天井の龍を釘で打ちつけ、髭を折って祈祷をしてもらった。その後、この様な出来事は起こることはなかったという。現在も八龍宮には甚三の彫った龍が残されている。


 

現在でも、綿津見神社でこの甚三の彫った飛竜の彫刻を見る事ができます。

下記サイトには神社詳細と、彫刻の写真を見る事ができます。


『山鹿をさるく』

 

◯参考文献


閲覧数:37回0件のコメント

最新記事

すべて表示

若宮さん

若宮さん【ワカミヤサン】 ◯地域 牛深市(現・天草市牛深町) ◯概要 池田の防波堤のある山の麓に、四角柱の石碑がある。 これは池田沖で難破して池田の海岸に打ち寄せられた遺体を葬って、その霊を慰めるために大西家が建立した。...

瓶棺の葛根

瓶棺の葛根【カメカンノカッコン】 ◯地域 下益城郡松橋町(現・宇城市) ◯概要 緒方惟義の家老の墓と伝わる桜の大木がある。墓といっても桜があるのみで、墓石は存在しない。 享保18年(1733)貧民がこの桜の根の葛根を掘ると、瓶棺を抱いた葛根があった。貧民がこれを食すとたちま...

黄金の鳥

黄金の鳥【オウゴンノトリ】  ◯地域 阿蘇郡波野村(現・阿蘇市) ◯概要 一年の中で正月の朝一度だけ、黄金の鳥が飛んできて、ただ一声なくという。この鳥はなかなか一目につかず、この鳥を見た人は目がくらんで「めくら」になるといわれ、誰ひとり見に行こうとする人はいないという。...

Comments


bottom of page