雲を呼ぶ竜【クモヲヨブリュウ】
◯地域
◯概要
江戸時代の末、文化年間、下梶屋(鹿本郡鹿本町)の隣の部落・袋田に甚三という大工がいた。甚三は後世に残る様な彫刻が彫りたいと、日夜、八竜宮に参拝していた。
ある夜、龍に襲われる夢を見た事で、神のお告げだと、その日から一心不乱に夢に現れた龍を彫り続け、出来上がった龍は、八龍宮本殿天井に取り付けられた。この時、龍が生きているもののように次第に激しく動き出し宙に躍り上り何日もお宮に戻ってこなかったという。
この出来事から何年か経ったある夏の日、近く竹の花淵で水浴びをしていた村人が、お宮を黒雲が多い激しい竜巻が起こったのを目撃した。それ以降、竹の花淵では誰一人と一匹も魚を釣り上げることができなくなり、良く晴れた日にお宮の床がびしょびしょに濡れていたりという事が頻発したという。
村人たちは「甚三が彫った龍が、お宮から抜け出して竹の花淵に現れている。」と噂し、淵へ近づくものはいなくなった。そこで、村人たちは、天井の龍を釘で打ちつけ、髭を折って祈祷をしてもらった。その後、この様な出来事は起こることはなかったという。現在も八龍宮には甚三の彫った龍が残されている。
現在でも、綿津見神社でこの甚三の彫った飛竜の彫刻を見る事ができます。
下記サイトには神社詳細と、彫刻の写真を見る事ができます。
『山鹿をさるく』
◯参考文献
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