老松の怪火【ロウマツノカイビ】
◯地域
◯概要
明治26年の8日、丁度日清戦争の始まる前年、南関町大字関町字城ン原、豪地の上の十年役戦死者の官軍墓地境内にあった老松(周囲2丈余り)が台風で倒れる前夜か前々夜の事。老松の樹上に、幾つかの赤い火の玉が暫くの間灯っているのを、老樹下手の赤痢患者を隔離した病舎に居た人々が見ていた。不思議がっていると、翌日か翌々日かの台風で老樹は倒れたのであった。
この老松は、昔、加藤清正が肥後に封じられた折に、一族の加藤清兵衛が城代としてこの地に構えた館の書院の庭の松であったという。俗に書院松と称し、別に祟るという事はなかったが、勝手に採ることを畏れてきた名木だった。
この怪火を言い伝える老人達の意見では、それは老松のタマシ(霊)ないしセー(精霊)であったろうという。また老樹が倒れる前には稀にある例であるともいう。
◯参考文献
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