百怪堂2023年9月26日鬼牛鬼牛【オニウシ】 ◯地域 阿蘇郡波野村(現・阿蘇市波野) ◯概要 昔、阿蘇外輪の高原、主に九重山と祖母山には多くの獣が棲んでいた。そして春ともなれば冬ごもりをしていた野牛や鹿、猪、狸などが九重山からこの波野の高原に群をなして降りてきて、祖母山の猪や狼、狐のところに遊びに行っ...
百怪堂2023年9月23日鉾様鉾様【ホコサマ】 ◯地域 天草郡一丁田村(現・天草市河浦町) ◯概要 天保年間、落人であったとも六部のようなものであったともいい、兎に角一本の鉾を錫杖のごとく杖を突いて、雨乞をして回る祈禱僧であった。その僧も、その鉾もその人と鉾を祀ったお宮も一様に鉾様と呼んでいる。...
百怪堂2023年9月22日いぼ石いぼ石【イボイシ】 ◯地域 阿蘇郡坂梨村(現・阿蘇市一の宮町坂梨) ◯概要 阿蘇谷の七鼻八石があり、その八石のうち2個が坂梨村にある。 いぼ石は坂梨村滝室峠に登る国道の北側の田地にある直径2.5m高さ1.4mの石で人の体にできる「いぼ」の形をしている。...
百怪堂2023年9月20日鶏を飼わぬ家う鶏を飼わぬ家【ニワトリヲカワヌイエ】 ◯地域 天草市瀬戸町 ◯概要 瀬戸の天満宮の氏子は鶏を飼わない。 この天満宮の神様が、ある時戦争に出征されたおり、不意に鶏が出てきて驚き、目を突かれたので鶏を不吉とするのだという。...
百怪堂2023年9月18日おすみの滝おすみの滝【オスミノタキ】 ◯地域 阿蘇町大角田(現・阿蘇市今町) ◯概要 阿蘇町内牧から一の宮町宮地へ通うバス道路の中間に大角田という小さな部落がある。ここに昔、高さ5間余り、幅2間ばかりの滝があった。現在は滝壺もだんだん浅くなって滝とは名ばかりである。「おすみの滝」とい...
百怪堂2023年9月13日田鶴原の天女田鶴原の天女【タヅワラノテンニョ】 ◯地域 阿蘇市一の宮町 ◯概要 田鶴原神社に伝わる羽衣伝説である。 昔、天女3人が田鶴原に天から舞い降りた。羽衣を松藤の枝にかけて清泉を浴びて楽しんでいるときに、新彦神がこれを見て1つの羽衣を隠した。新彦神はその1人の娘をめとって夫婦にな...
百怪堂2023年9月10日蛇石様蛇石様【ヘビイシサマ】 ◯地域 永水村(現・阿蘇市永水) ◯概要 豊肥線赤水駅から東方約500メートルの永葉山にある岩に、昔から約2000年ほど年を経た蛇が生息していると言い伝えられ、今なお蛇石様と言って集落民や他村民から信仰されている。...
百怪堂2023年9月9日ちちろちちろ ◯地域 玉名郡長洲町梅田 ◯概要 夜、梅田のある場所を通ると「ちちろ」が足に巻き付くので、地蔵さんを祀った。 この地蔵は「ちちろの地蔵さん」と呼ばれており、コンクリートの平屋根の中に地蔵尊5体が安置されている。 この「ちちろ」とは「ちちろこ」または「つちろこ」とも呼...
百怪堂2023年9月2日天狗孫兵衛天狗孫兵衛【テングマゴベエ】 ◯地域 阿蘇郡南阿蘇村白川 ◯概要 孫兵衛という男が、中岳麓の扇谷まで、たきもん取りに行ったときのこと。孫兵衛は身軽な男で、岩から岩へひょいひょいと飛び渡りながら、山道を登って行った。扇谷には、昔から天狗が住んでおり、その様子を上から見ていた。...
百怪堂2023年8月31日雨カ池雨カ池【アメガイケ】 ◯地域 永水村(現・阿蘇市永水) ◯概要 永水村赤水部落三叉路から西方300メートル黒川左岸の水田の中にある池。 周囲わずか40メートル位の小池で、水は濁り泥土深く、この地域の人は底無しと呼んでいる。...
百怪堂2023年8月29日みんみん滝みんみん滝【ミンミンダキ】 ◯地域 水俣市湯出 ◯概要 大窪部落の手前の山中にある巨大な岩の絶壁で、その絶壁には転々と赤い血のようなものがついている。 昔、鬼のような継母は、なにかと継子を亡き者にしようと機会をうかがっていた。...
百怪堂2023年8月28日白糸滝の大蛇白糸滝の大蛇【シロイトダキノダイジャ】 ◯地域 菊池郡瀬田村(現・菊池郡大津町瀬田) ◯概要 黒川村より落下する高さ60メートルの滝で、百錬の絹が垂れているようであるところからこの名称がついた。 大昔、阿蘇の内牧の東方の小地池に主である大蛇が棲んでいた。水底が浅くなり棲めな...
百怪堂2023年8月26日藤原景清の左目藤原景清の左目【フジワラカゲキヨノヒダリメ】 ◯地域 上益城郡福田村(現・益城町福原 左之目神社) ◯概要 旧福田村谷川部落の東方に左の目八幡宮(左之目神社)がある。ここの祭神は藤原景清の左の眼球であるという。景清の左の眼球が飛んで松枝にかかり、夜光を放っていたのを祀ったと...
百怪堂2023年8月25日太郎じゃどん太郎じゃどん【タロジャドン】 ◯地域 玉名郡大原村(現・南関町) ◯概要 昔、相ノ谷の坂谷に、太郎じゃどんという狐がいた。 ある時、村の者4、5人が参宮しようと思い立ち、太郎じゃどんも連れていくことにした。太郎じゃどんは「関ノ町には犬がいるから、おれは福山越えをしていくよ」...
百怪堂2023年8月23日狐の琵琶坊主狐の琵琶坊主【キツネノビワボウズ】 ◯地域 玉名郡南関町 ◯概要 昔、ある人が西ノ原の先の長浦の川の辺りを通っていると、1匹の狐が一心に藻を頭からかぶっていた。妙なことをするなと隠れて見ていると、立派な琵琶坊主になった。「ははー狐のやつ、こんな風に人を化かすのだな」と思って...
百怪堂2023年8月4日久玉の権現様久玉の権現様【クタマノゴンゲンサマ】 ◯地域 天草久玉村 権現山(現・天草市久玉町) ◯概要 久玉と魚貫(オヌキ)の村境に天草の島の中では高山の1つ400メートルあまりの権現山があり、頂上の森林の中に権現様の小祠がある。祠の傍に、大きな岩が両方から寄り掛かってる。そしてその...
百怪堂2023年5月26日明神淵の神輿明神淵の神輿【ミョウジンブチノミコシ】 ◯地域 中通村(現・阿蘇市一の宮町中通) ◯概要 その昔、明神(阿蘇神社・北宮神社の神々を明神と称す)の御神輿が、古城村の国造神社御祭日に大雨が降って大洪水となった。そのうち1基の御神輿が流されて沈んだところであると言われている。ここ...
百怪堂2023年5月25日魚売りの神様魚売りの神様【サカナウリノカミサマ】 ◯地域 天草郡楠浦村(現・天草市楠浦町) ◯概要 楠浦村の城ヶ坂という峠に大きな松が立っていて、その下に石が神様として祀ってある。もとはこの石は二、三人腰を下ろすには丁度良い恰好であり、また峠を越す人の休息の為には良い場所でもあるので、...
百怪堂2023年1月12日北宮渕の白鯰北宮渕の白鯰【キタミヤブチノシロナマズ】 ◯地域 菊池市北宮 ◯概要 昔、菊池の北宮に長次郎といって、村人の信望のあつい人がいた。 ある秋の日、長次郎は近所の人々を雇って、籾摺りをした。朝早くから、人々は矢裂木(やらいぎ)に汗を流し、木臼を回していたので、夕方にはたくさんの...
百怪堂2023年1月2日行人様の祟り行人様の祟り【ギョウニンサマノタタリ】 ◯地域 天草郡本村(現・天草市本町本) ◯概要 昔、本村の山の頂上に行者が居た。この行者の行は蟻の行といって、蟻のたかった中に座って心身を鍛錬するのであったという。 それからこの山の麓に「金兵衛」「喜右衛門」という兄弟の猟師がいた。...