top of page
検索
百怪堂

鬼牛

更新日:2023年10月3日

鬼牛【オニウシ】


◯地域

阿蘇郡波野村(現・阿蘇市波野)


◯概要

昔、阿蘇外輪の高原、主に九重山と祖母山には多くの獣が棲んでいた。そして春ともなれば冬ごもりをしていた野牛や鹿、猪、狸などが九重山からこの波野の高原に群をなして降りてきて、祖母山の猪や狼、狐のところに遊びに行った。

またある時は祖母山の方の獣たちが九重山の方に遊びに出かけることもあった。このように波野高原は獣たちの通路であり遊び場であった。


ある時、祖母山から九重山に、ぞろぞろと獣たちが群をなして移動していたとき、そのそばを1人の坊さんが通りかかった。すると、その獣の中に大きな角を持った鬼牛が、急に坊さんに突きかかった。坊さんは大変腹を立てて、持っていた薙刀で鬼牛の首を切り落とした。


それ以来、そこを通る人や飼牛が魔風にあたって病気になり死んでしまうことが度々起こった。

これは自分が殺した鬼牛の悪霊の仕業であろうと坊さんは千部の経を書いてその地に埋めて塚を造り鬼牛の霊を弔ったのでその後は祟りがなくなったという。


波多野村小園と産山村境に千部塚があり、その近所に牛首というところがある。そこは牛の首を切り落とした場所だといわれている。


 

◯参考文献

『管内実態調査書.阿蘇編』熊本県警察本部警務部教養課 1959年

閲覧数:31回0件のコメント

最新記事

すべて表示

若宮さん

若宮さん【ワカミヤサン】 ◯地域 牛深市(現・天草市牛深町) ◯概要 池田の防波堤のある山の麓に、四角柱の石碑がある。 これは池田沖で難破して池田の海岸に打ち寄せられた遺体を葬って、その霊を慰めるために大西家が建立した。...

瓶棺の葛根

瓶棺の葛根【カメカンノカッコン】 ◯地域 下益城郡松橋町(現・宇城市) ◯概要 緒方惟義の家老の墓と伝わる桜の大木がある。墓といっても桜があるのみで、墓石は存在しない。 享保18年(1733)貧民がこの桜の根の葛根を掘ると、瓶棺を抱いた葛根があった。貧民がこれを食すとたちま...

黄金の鳥

黄金の鳥【オウゴンノトリ】  ◯地域 阿蘇郡波野村(現・阿蘇市) ◯概要 一年の中で正月の朝一度だけ、黄金の鳥が飛んできて、ただ一声なくという。この鳥はなかなか一目につかず、この鳥を見た人は目がくらんで「めくら」になるといわれ、誰ひとり見に行こうとする人はいないという。...

Commentaires


bottom of page