久玉の権現様【クタマノゴンゲンサマ】
◯地域
天草久玉村 権現山(現・天草市久玉町)
◯概要
久玉と魚貫(オヌキ)の村境に天草の島の中では高山の1つ400メートルあまりの権現山があり、頂上の森林の中に権現様の小祠がある。祠の傍に、大きな岩が両方から寄り掛かってる。そしてその間がやっと人が通れるかどうかの隙間ができている。その隙間を通るとき、孝行な者なら無事だが、不孝者であったら忽ち岩が落ちかかって殺してしまうという。
昔、久玉村の字鍛冶屋というところと、上揚という部落の人が沖の方へ漁に出かけ、さて帰ろうという時になって全く俄かの大暴風らそして一面に霧がかかって、どちらへ漕いでいいか全く方角がわからなかった。仕方がないので運を天に任せて観念していると、ふと霧の中に煌々たる光り物が見えた。漁師達は一時呆気にとられたが、何かそれが自分達を導いてくれる物の様な気がして、無我夢中で光り物のした方向へ矢鱈と漕いでいると、無事に久玉の浦に着いた。あの光り物はどうやら村の北の高い山辺りだったというので、早速山へ尋ねてみると、一番高い山の山頂に今まで無かった大石が落ちている。さては先刻の光り物はこれであったか、これは神様に違いないというので、権現様として祀る事にしという。
◯参考文献
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