top of page

天狗孫兵衛

  • 百怪堂
  • 2023年9月2日
  • 読了時間: 2分

天狗孫兵衛【テングマゴベエ】


◯地域

阿蘇郡南阿蘇村白川


◯概要

孫兵衛という男が、中岳麓の扇谷まで、たきもん取りに行ったときのこと。孫兵衛は身軽な男で、岩から岩へひょいひょいと飛び渡りながら、山道を登って行った。扇谷には、昔から天狗が住んでおり、その様子を上から見ていた。

天狗は「俺のように、身軽な男のいるもんだ」そう思って声をかけた。「おいおい、お前は人間だろ。そんなに身の軽い者は見たことがない」と天狗は大層感心して孫兵衛と友達になった。


ある日のこと、孫兵衛は葬式の揚げ豆腐を買いに出かけた。帰り道に仲良くなった天狗にばったりあった。「今、江戸じゃ大火事が起きている。火事と喧嘩は江戸の華という言葉があるだろ。ちょっと見ておくのも後学のためと思うのだが、あんたも一緒に行ってみるか」と天狗に誘われ、孫兵衛もその気になり、買った揚げ豆腐は松の枝に引っ掛けて、天狗に背負われ、神通力にて江戸までひとっ飛びで飛んでいった。


揚げ豆腐を買いに行った孫兵衛が、いつまでも帰らないので皆イライラしていたとこらに、澄まし顔で孫兵衛が帰ってきて、「江戸の火事はすごいぞ。ちょいと今見てきたが、あの火の具合じゃまだしばらくは収まらないよ」と言う。「何を寝ぼけた事を言ってるのだ」と村人が言うと、「本当のことだ。江戸で隣のおっさんにも会った」と返す。


何ヶ月か過ぎた頃、隣のおっさんが帰ってきて、江戸で孫兵衛に会った話をするので、村人たちは“天狗孫兵衛”と呼ぶようになった。


 

◯参考文献

高橋佳也 文・坂本福治 絵『阿蘇の昔むかし 白川の民話』建築省立野ダム工事事務所 1999年

最新記事

すべて表示
若宮さん

若宮さん【ワカミヤサン】 ◯地域 牛深市(現・天草市牛深町) ◯概要 池田の防波堤のある山の麓に、四角柱の石碑がある。 これは池田沖で難破して池田の海岸に打ち寄せられた遺体を葬って、その霊を慰めるために大西家が建立した。...

 
 
 
瓶棺の葛根

瓶棺の葛根【カメカンノカッコン】 ◯地域 下益城郡松橋町(現・宇城市) ◯概要 緒方惟義の家老の墓と伝わる桜の大木がある。墓といっても桜があるのみで、墓石は存在しない。 享保18年(1733)貧民がこの桜の根の葛根を掘ると、瓶棺を抱いた葛根があった。貧民がこれを食すとたちま...

 
 
 
黄金の鳥

黄金の鳥【オウゴンノトリ】  ◯地域 阿蘇郡波野村(現・阿蘇市) ◯概要 一年の中で正月の朝一度だけ、黄金の鳥が飛んできて、ただ一声なくという。この鳥はなかなか一目につかず、この鳥を見た人は目がくらんで「めくら」になるといわれ、誰ひとり見に行こうとする人はいないという。...

 
 
 

コメント


bottom of page