百怪堂2022年9月22日轟の渕の大蛇轟の渕の大蛇【トドロキノフチノダイジャ】 ◯地域 人吉市東大塚町 ◯概要 大塚発電所の南方100mにある胸川の滝で、滝の落ちたよどみを轟の渕と呼んでいる。円形で大きく、青々として一見気味の悪い。 この渕には大蛇が2匹棲んでおり、1匹は毒蛇で1匹は毒を持っていなかった。毒蛇が...
百怪堂2022年9月21日白鐘山の五助狐白鐘山の五助狐【シロガネヤマノゴスケキツネ】 ◯地域 菊池市 ◯概要 ある日、菊池の赤星の謙蔵と伊之作が、白鐘山の山道を歩いていた。旭志村の岩本の親戚に、近所の人が亡くなったことを知らせに行くところであった。 2人が道を急いでいると、道の側の大きな茶の木の横に、大きな狐が寝...
百怪堂2022年9月20日源四郎狐源四郎狐【ゲンシロウキツネ】 ◯地域 菊池市西迫間 ◯概要 昔、松山ン原に源四郎狐が棲んでおり、美し女子に化けたり、馬糞の饅頭を食わせたりと人を良く騙していた。村人もこれには皆迷惑していた。 ある時、松山ン原付近の村の知恵者の男が、「狐のくせに人間ばだまくらかすとは、けしか...
百怪堂2022年9月19日戸馳の泉戸馳の泉【トバセノイズミ】 ◯地域 戸馳村(現・三角町戸馳) ◯概要 昔、戸馳内瀉部落に泉があった。通称は河。この泉は水がよく、付近の人にとって大切な飲料水で、村人は朝夕この泉に水を汲みに行っていた。 ある朝、村の老人(氏名不詳)が朝一番に水を汲みに行き、そのまま消息が分か...
百怪堂2022年9月18日おさん嬢おさん嬢【オサンジョウ】 ◯地域 水俣市江添 ◯概要 昔、平上の山におさん嬢という綺麗な娘がいたが、宇土のすぐり主(藁すぐりの主)との間に婚姻が成立し、嫁ぐことになった。 すぐり主は働き者であったが、おさん嬢は怠け者であったのですぐり主が気に入らず離縁することになった。媒酌...
百怪堂2022年9月17日八つ目の赤亀八つ目の赤亀【ヤツメノアカガメ】 ◯地域 山鹿市鹿央町岩原 ◯概要 景行天皇から聖武天皇の御代まで、岩原のある池の上に不思議な光が現れていた。 大神という人が、池のそばに行って拝んでいると、突然8つの眼を持った赤亀が池に姿を現した。赤亀は、頭に鏡を乗せ、首に500の玉を掛け...
百怪堂2022年9月16日鯰の主鯰の主【ナマズノヌシ】 ◯地域 山鹿市鹿央町姫井 ◯概要 昔、姫井の村人たちが、山内川の七障子というところから、大きな鯰を取ってきた。この鯰は、鯰の主で、夜になると「おとぼおとぼ」と泣く。表に出ると姿はなく、その代わりに姫井の馬が毎日1頭ずつ死んでいったという。そのため、鯰...
百怪堂2022年9月15日赤ヤカン赤ヤカン【アカヤカン】 ◯地域 球磨郡四浦村(現・球磨郡相良村) ◯概要 川村川辺村小学校分校付近に、赤ヤカンと呼ばれる塚があり、ここから赤ヤカンという火の玉が飛び出して、初神から深水を通り五木の金川の下にある山の神の堂に行くといわれている。夜明け前、人に見られないように飛...
百怪堂2022年9月14日インガミインガミ ◯地域 熊本県各地 ◯概要 球磨郡、人吉郡など熊本県南部に広く伝わる。犬神の事。インガメ、犬がめとも。 共通して、犬が人に取り憑く“憑物”である。 各地域により、その細かな形態や性質は様々である。 以下、地域ごとに事例を列挙する。 ◎球磨...
百怪堂2022年9月14日シバカキシバカキ ◯地域 玉名郡南関町 ◯概要 夜に路傍で石を投げてくる怪物だという。 柳田國男は『妖怪談義』にて、「シバとは短い草の生えたところで、そこを引っ掻くような音もさせるのだろう」と考察している。 ◯参考文献 柳田國男/小松和彦 校注『新訂 妖怪談義』角川学芸出版...
百怪堂2022年9月13日コバン野の大蛇コバン野の大蛇【コバンノノダイジャ】 ◯地域 天草郡倉岳町(現・天草市倉岳町) 倉岳 ◯概要 天草郡栖本町と倉岳町にまたがる倉ヶ岳に登る途中にコバン野というところがある。 ここに昔、雄雌2匹の大蛇が棲んでいた。そのうちどちらかが白蛇であった。またここには首の周りが白い輪にな...
百怪堂2022年9月12日九月に梅の花九月に梅の花【クガツニウメノハナ】 ◯地域 天草郡大道村(現・上天草市龍ヶ岳町大道) ◯概要 大通村の福田庄八郎という人が、鎮守天満宮の社殿があまり朽廃したので、肝入りで改築することになった。その間、御神體を自分の家の神棚に奉安していた。...
百怪堂2022年9月11日御前迎えの火御前迎えの火【ゴゼンムカエノヒ】 ◯地域 菊池市七城町砂田蟹穴 ◯概要 菊池の土地を治めていた菊池一族は、能運公の頃になると、次第に勢力は弱まってきていた。 北朝方の大友勢は、どんどん勢力を増してきて、勢いに乗じて菊池一族を滅さんとしていた。しかし、十八外城の守りが固く、本...
百怪堂2022年9月10日松の木の霊松の木の霊【マツノキノレイ】 ◯地域 天草郡櫨宇土村(現・天草市枦宇土町) ◯概要 昔この地域で山火事があった。この山中に一本の大きな松の木があって、日頃神聖視されていたが、この木も焼けてしまった。それを見ていた人達の話では、松の木に火がつくと、根元の空洞の中から大きな火玉...
百怪堂2022年9月9日玉垂玉垂【タマダレ】 ◯地域 球磨郡水上村岩野 ◯概要 この地域にある生善院は俗称「猫寺」の名でよばれる。 天正の頃、僅か9歳で人吉藩主となった相良忠房にたいして、叔父の大膳助頼貞が、湯山城主佐渡守宗昌とその弟普門寺の僧盛誉と組んで謀反の心ありとの噂が広まった。...
百怪堂2022年9月8日うそ越えうそ越【ウソゴエ】 ◯地域 一町田村盆田(現・天草市河浦町河浦) ◯概要 この地域に“うそ越”というのがある。 昔から物騒なところで、ある時2人の故人が夜遅くここを通りかかって「昔はここに血のついた人間の手が落ちて来おったそうだ」と言って、互いにゾッとし顔を見合わせた瞬間に...
百怪堂2022年9月7日鐘が淵の大亀鐘が淵の大亀【カネガブチノオオガメ】 ◯地域 菊池市北宮 ◯概要 昔、肥後国で大旱魃があった。長く雨は降らず、来る日も来る日も、目の回る様なカンカン照りの日々が続いた。 ある日、菊池川の畔に住む、貧しい百姓の与作どんは、あまりの暑さにたまりかねて、鐘が淵へ降りて行った。しか...
百怪堂2022年9月6日琴平様の御神火琴平様の御神火【コトヒラサマノゴシンカ】 ◯地域 天草市有明町 ◯概要 今から130年ほど前の話である。 ある日、赤崎の兼平というお爺さんが大浦の親戚の家から帰っており、須子の家なみを過ぎて「めぐろ」にかかった頃、太陽が急に西の山向こうに落ちるように沈んでしまった。小さな孫...
百怪堂2022年9月5日首が古くなる地蔵首が古くなる地蔵【クビガフルクナルジゾウ】 ◯地域 天草市天草町大江軍浦 ◯概要 軍ヶ浦は、天草氏の先祖漢高祖が天草に渡って来られた時に戦争された頃とも云い、また源平合戦の折、落ちて来た平家方の武士を源氏が追って来て戦のあった所とも云われている。...
百怪堂2022年9月4日清姫清姫【キヨヒメ】 ◯地域 天草郡教良木村(現・上天草市松島町教良木) ◯概要 ある時、1人の乞食が宮の社殿で休んでいると、1匹の蛇が蛙を捕まえて、今にも呑もうとしているのが目についた。そこで乞食は蛙を助けて蛇を殺した。 それから幾100年かの後、その蛇は清姫に生まれかわり、...