おさん嬢【オサンジョウ】
◯地域
◯概要
昔、平上の山におさん嬢という綺麗な娘がいたが、宇土のすぐり主(藁すぐりの主)との間に婚姻が成立し、嫁ぐことになった。
すぐり主は働き者であったが、おさん嬢は怠け者であったのですぐり主が気に入らず離縁することになった。媒酌人の山主が連れに行った帰り道、おさんは立腹のあまり、山主を置き去りにし一目散に帰宅した。
翌日、おさん嬢の招きで山主が家に行くと、それは岩穴の中で、おさん嬢は狐の化身であった。それ以来、本性を現し、女に化けて肥薩街道に現れお人好しの人間を騙していたと云う。
今でも部落の秋の枯葉焼きをする頃になると、水俣市江添平上の山に赤々と火が燃えているように見せかけ、部落民を驚かす事があり、おさんは生きているのだと云われている。
新暦11月の夜の10時と1時に、2度燃えるのを見た者もいる。山火事ではないかと心配して行ったが、何も変わったことはなかったと云う。
自分の怠癖で破談になったのに、逆恨みも甚だしいですよ。
◯参考文献
『管内実態調査書第5(城南編)』熊本県警察本部警務部教養課 1962年
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