百怪堂2022年10月25日帆掛け船帆掛け船【ホカケフネ】 ◯地域 熊本市 沿岸部 ◯概要 前方に突然帆掛け船が現れ、方向を変えて避けるとまた前方に現れるので、舟を止めると帆掛け舟は消えたという。また盆の16日に出漁すると難破船でなくなった人の亡霊が迎えに来ると云われていたところもあるという。 ◯参考文献...
百怪堂2022年10月18日招川内の鞍渕招川内の鞍渕【マンバのクラブチ】 ◯地域 水俣市湯出 ◯概要 平家の落人たちが、安住の地を求めて、南へ南へと流れたもののうち、水俣に一時隠れ家を見出した者も相当あったが、市の中心から12キロ、湯出川上流にも、落人が隠れ住んでいた。そこに”鞍渕”と呼ばれる渕がある。...
百怪堂2022年10月16日榎の童子榎の童子【エノキノドウジ】 ◯地域 菊池龍門一之野(現・菊池市龍門) ◯概要 昔、菊池では正月4日に山で仕事をすることを「四日山」と言っていた。 ある年の正月4日の早朝に、善作が斧や鉈などを持って、龍門渕の上の自分の田んぼに出かけて行った。田んぼのそばに大きな榎があって、そ...
百怪堂2022年10月14日平家婦女の亡霊平家婦女の亡霊【ヘイケフジョノボウレイ】 ◯地域 下矢部村(現・上益城郡山都町勢井) ◯概要 牧野に京の女郎というところがある。 昔、平家の公卿たちが世を避けたとき、京の婦女たちがこの辺まで彷徨ってきた。婦女たちを追い返すため「山深いところに隠れようと思い、公卿たちはことご...
百怪堂2022年10月12日ホラ貝音ホラ貝音【ホラガイオト】 ◯地域 上益城郡御船町 ◯概要 甲斐宗連が城山にて大いに覇を唱えていたころ、出陣や敵の来攻、または天変地異のときに頂上よりホラ貝を吹いて領民に急を知らせていた。現在でも御船町に非常事態が発生すると、城山の頂きにホラ貝の音が響き渡って変を知らせるとい...
百怪堂2022年10月11日広崎の石広崎の石【ヒロサキノイシ】 ◯地域 広安町(現・上益城郡益城町馬水) ◯概要 木山間の旧道、古閑の西、広崎区に接する畑の中に、横3尺、縦4尺位の石があり、右側に四道見禅とある。 この石が年々少しづつ道に近寄っている。もし道に出ると世の中が崩れるといわれている。 ◯参考文献...
百怪堂2022年10月9日石になった亀石になった亀【イシニナッタカメ】 ◯地域 天草郡高戸村(現・上天草市龍ヶ岳町高戸) ◯概要 高戸村瀬戸に和田鼻というところがある。 昔、大亀が2匹そこに登ってきた。そして1匹は上を向き、1匹は下を向いて石になってしまった。それを下貫のある人が、自分の家の石垣の石に使ったら、...
百怪堂2022年10月8日ちゆよみ鳥ちゆよみ鳥【チユヨミドリ】 ◯地域 阿蘇地方 ◯概要 昔々、ちゆよみという人がのに出て、牛をつないでいたが、水を少しも飲ませずに、草ばかりを食べさせていた。 ある日の事、このちゆよみの父が「ちゆよみ、牛に水は飲ませたか」と問うと「はい」と答えて嘘ばかりついていたが、父は本当...
百怪堂2022年10月6日おとさ神様おとさ神様【オトサガミサマ】 ◯地域 天草郡一丁田村(現・天草市河浦町河浦) ◯概要 盆田のおとさ神様を念ずると病気が治る。おとさ神様とは、おとさという女が野狐憑きか何かになっていたのが、良くなって以後自分の守神を念じて人の病気を治してくれるのだという。...
百怪堂2022年10月4日殿様の手洗皿殿様の手洗皿【トノサマノテアライザラ】 ◯地域 乙女村(現・甲佐町) ◯概要 昔、芦田友之燕という殿様が住んでおり、その屋敷内に石造りの手洗皿があった。ある夜、村の老人が秘かにこの手洗皿を盗んで、自分の庭に置いたところ、毎夜「殿様の屋敷に帰る」と泣くので、老人は気味悪がり、...
百怪堂2022年10月2日大きくならぬ樟大きくならぬ樟【オオキクナラヌクスノキ】 ◯地域 天草郡御領村(現・天草市五和町御領) ◯概要 御領村の田の中に、小さな塚がありその上に小さな樟が1本立っているが、数百年経っても大きくならない。これは島原の乱のとき、恨みをのんで死んだ人たちを埋めた塚で、その念がかかって大き...
百怪堂2022年10月1日社会の階級制がなくなる時に割れる石社会の階級制がなくなる時に割れる石【シャカイノカイキュウセイガナクナルトキニワレルイシ】 ◯地域 天草郡一町田村(現・天草市河浦町河浦) ◯概要 一町田村に鉾様というお宮がある。このお宮の境内にある大きな割れ石は、鈴木三郎という人が「この碑が2つに割れるときは、階級制がなく...
百怪堂2022年9月30日円山のおべんさん円山のおべんさん【マルヤマノオベンサン】 ◯地域 小野部田村(現・宇城市小川町) ◯概要 北小野に、夜更け千鳥足で帰ると必ず付近に美女が現れてかどわかすものがある。これは円山に棲む狐の仕業であるといっていた。 ある人が婚礼祝に呼ばれて、土産を腰にぶら下げてふらふらと帰ってい...
百怪堂2022年9月29日城山の火の玉城山の火の玉【シロヤマノヒノタマ】 ◯地域 上益城郡御船町 ◯概要 夏の夜、城山頂上付近から火の玉が出る。これは天正12年7月5日に死去するまで、この地で近隣諸豪族を圧していた甲斐宗連が、今も魂魄を城山に留めて御船町を守っているのだという。 ◯参考文献...
百怪堂2022年9月28日宥明法師のムカデ少女宥明法師のムカデ少女【ユウメイホウシノムカデショウジョ】 ◯地域 山鹿市小原 ◯概要 宥明法師という真言宗の偉い坊さんがいた。色々な術を知っており、“辨天(べんてん)の法”という術を修得しており、菊池の殿様を驚かせた。 ある時、殿様が寺参りした時、宥明法師にプリティガール(...
百怪堂2022年9月27日鬼八法師鬼八法師【キハチホウシ】 ◯地域 阿蘇地方 ◯概要 阿蘇を開発した健磐龍命(阿蘇大明神)の家来であった鬼八は、往生岳から的石に向けて射った矢を拾う役目を仰せつかった。命が射られる度に矢を拾っては持ち帰り、往復五里(約20km)の距離を超人的な速さで行き来していた。...
百怪堂2022年9月26日クラゲのようなものクラゲのようなもの【クラゲノヨウナモノ】 ◯地域 熊本市東区新外 ◯概要 ある人が小学生のころに弟と2人で空手を習っていた。送迎は母が運転する車である。 その日も夕暮れに迎えに来てくれた。 家の近くの駐車場に車を止めて降りたときのこと。ふと見上げると風鈴またはクラゲのような...
百怪堂2022年9月25日天徳幽霊天徳幽霊【テントクユウレイ】 ◯地域 豊秋列村(現・御船町小坂・陣豊秋) ◯概要 昔、陣村に天徳という相撲取りがいて親孝行であった。年老いた母を一人残し、若くして死んでしまった。母の身を案ずるあまり幽霊となって出ていたという。その天徳を埋葬したところが天徳塚として残っている...
百怪堂2022年9月24日ムラカゼムラカゼ ◯地域 人吉市井ノ口町 ◯概要 主として犬・猫・狐などが憑く事をムラカゼという。特に犬が強く、インカゼと呼んで嫌っている。その対処策としては、祈祷してもらうそうである。ムラカゼの人たちは、他人に好まれないので、その中だけの通婚が多いそうである。 憑物の一種です。...
百怪堂2022年9月23日火玉火玉【ヒダマ】 ◯地域 球磨郡多良木町 ◯概要 米や麦を粗末にして焼き捨てたりすると、穀物の精は火玉となって現れ、家から風を切って飛び出す。その家は次第に貧困となる縁起の悪いことだとしている。 ◯参考文献 『管内実態調査書第5(城南編)』熊本県警察本部警務部教養課 1962年