ちゆよみ鳥【チユヨミドリ】
◯地域
阿蘇地方
◯概要
昔々、ちゆよみという人がのに出て、牛をつないでいたが、水を少しも飲ませずに、草ばかりを食べさせていた。
ある日の事、このちゆよみの父が「ちゆよみ、牛に水は飲ませたか」と問うと「はい」と答えて嘘ばかりついていたが、父は本当の事だとばかり思いこんでいた。
ちゆよみが、牛のところへ行ってみると、牛は水を飲めずに死んでいた。ちゆよみはそれを川のはたに埋めた。
そのうち、ちゆよみは死んだが、その報いでちゆよみ鳥になった。そしていつも川端に行って牛が流れて来はしないだろうかと、見つめていたという。すると、上の方でごーうごーうと水の流れの音がするので、すぐその方へ上ってみると、水は一滴もなかった。今度は下の方でごーうごーうと音がするので行ってみるが、そこにも何もない。
そしていつも上るときは、キキキキと鳴き、下るときは川の音の様にごーうごーうと鳴くという。川端に多くおり、この鳥が辛夷の花が咲く時分に野に行くとごーうごーうと鳴いているそうである。
◯参考文献
民俗学会編著『民俗学.4(7)』能田太郎「肥後國阿蘇郡昔話」民族学会1932年6月
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