鬼のかまど【オニノカマド】
◯地域
水俣市深川 大鷹山
◯概要
この大鷹山には、“鬼のかまど”と呼ばれる三つの岩山がそびえている。
この山には昔鬼が住んでいて、麓を通る旅人を捕まえては、竈に掛けた大きな釜で煮て食べたという。また大鷹山の傍にある高岳山は、旅人を捕えて食べた食べかすの骨が積もり積もってできた山だと言われている。
しかしここの鬼の話は恐い話ばかりではない。
ある日、鬼の大将が「よし、今日は水俣に行くぞ」と声をかけると、他の鬼どもは喜んで大石手伝いに水俣の里へと急いだ。やがて、諏訪神社の大楠の前まで来ると、境内で鬼たちが遊ぶ姿が見え、子供好きな青鬼たちは子供たちと遊び始めた。そして、陣の坂の鬼族を訪ねる者、秋葉山の鶏石に遊びにいく者と、あれよあれよと散って行った。
太陽が沈みかける時間になると「おうい帰るぞ」と大将のどら声が聞こえる。帰りがけに少しくらい盗んでも気づかれないような沢山つまった米蔵から一俵ずつ担いで帰り、大岩のかまどで煮て食べるのだという。
日の昇る日中は大人しく、近隣の働き者の孝行娘や息子には優しかったという。ここに住む鬼どもは、不思議な癖があり、食べるだけ食べた後残ったご飯を大きなおにぎりにして、それを八個ずつ竹の皮に包んでは、高岳山の道筋に置いたり、乳飲み子に飲ませる乳も出ないような働き者の若い母親を見つけると、竹の皮包みのおにぎりを与えたという。
道に置かれたその竹の皮包みは、働き者で孝行者の目にだけ見えて、怠け者にはいくら歩いても見つけることができなかった。
熊本県のホームページに、平成15年2月発行の『くまもと県からのたより』の「くまもと物語27 熊本のむかし話その十一」がにて“鬼のかまど”の話が載っております。この刊行紙も本サイトの参考文献と同じものから参照しているようです。
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◯参考文献
※リンク先の国会図書館では本書の出版社は角川となっておりますが、本サイトでは私が手に取った日本標準版で記載しております。
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