鬼が掘った谷【オニガホッタタニ】
◯伝承地
◯概要
源八郎為朝が益城の木原山に城を築いている最中のこと、どこからか鬼がやってきて為朝の家来となり、城づくりに目覚ましい働きをした。
為朝はすっかり感心し、鬼に褒美は何が良いかと尋ねた。鬼は何もいらないという。為朝は「それではわしの気が済まぬ。なんなりと申せ。」というと、鬼は「それならば人を食わせてくだされ」と言った。これには為朝も弱り、「それではお前が一晩で谷を百掘りあげたら、望みどおりに人を食わせてやる」と約束した。
鬼は喜び勇んで谷を掘り、夜中までに九十九の谷ができた。夜明けにまでに百の谷ができては困るので、為朝は、こっそりバッチョ笠を手に取り、バサバサと鶏の羽音を出し「コケコッコー」と雄鶏を真似て、時を偽った。これを聞いた鬼は「もう夜明けか。一つだけ谷を掘り残して悔しい。」と残念がりながら立ち去ったという。
益城には今も、この時に鬼が掘ったといわれる沢山の谷がある。
人又は神が、鬼に一晩で何かをやらせる
↓
一晩で完成しそうで、焦る。
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鶏の真似をする又は鳥を鳴かせ、夜明けと錯覚させる
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鬼、退散
この流れの話は全国でも多く、熊本では水俣市でも同様の伝承が残っております。
◯参考文献
※リンク先の国会図書館では本書の出版社は角川となっておりますが、本サイトでは私が手に取った日本標準版で記載しております。
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