銃くれ井戸【ジュウクレイド】
◯伝承地
熊本県熊本市中央区 熊本城
◯概要
熊本城は第二次世界大戦終戦の頃まで旧陸軍の第六師団司令部が本丸広場にあり、その他城内一体に歩兵十三連隊の兵舎、兵器庫、弾薬庫などがあった。
年代は定かではないが、明治から大正にかけてのある夜、御幸坂の中程から左に入った西出丸跡にある兵器庫、弾薬庫を巡回警備中の歩哨兵が尿意を催し、井戸の縁に銃を立てかけて用足しに行った。その間に運悪く巡察の将校が見回りに来て、井戸に銃だけが立てかけてあるのを不審に思い持ち去った。そうとは知らず、用足しから帰ってきたら銃がない、天皇陛下から賜った銃を失くしてしまった歩哨兵は思い余ってその井戸に投身した。
それ以降、夜になると井戸の底から「銃くれ、銃くれ」という声が聞こえてくるようになり、兵隊にとってここの弾薬庫の歩哨の夜が一番嫌だったという。
◯参考文献
新熊本市史編纂委員会編『新熊本市史 別編 第二巻 民俗・文化財』熊本市 1996年3月
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