蛇田の幽霊【ヘビタノユウレイ】
◯伝承地
玉名郡和水町竈門蛇田
◯概要
1950年頃蛇田は切り通しになっており、藪の中に二基の墓石が建っていた。その後土砂採掘場となり、蛇田の三叉路にかかる小山はブルドーザーで削られその墓も取り除かれてしまった。その直後から「ユーレイが出る」と騒がれ始めた。
ある蒸し暑い夏の夜、一台のタクシーが客を迎えに行くため、空車で蛇田を通りかかった。竈門津留の方から生ぬるい風が車内を吹き抜けたと思った途端、車は停まりライトも消えた。鍵を回してもことりとも動かない。星明かりで何気なく客席を覗くと、そこにはいつの間にか、中華服を来て少し髪が乱れ下半身は薄ぼんやりとした妙齢の美しい女性がいた。女性は黙ったまま微かに揺れるように動いている。バックミラーには写らないが客席に目を向けると、女はいる。それからしばらくして運転手はそっと手を合わせるとライトがつきエンジンが掛かったので、無我夢中で走り、気がつくと女はいなかったという。
その後も単車が動かなくなったと思ったが後ろに女性が乗っていた、蛇田の幽霊が何人呼び止めたなど騒ぎが大きくなり、新聞にも取り上げられた。見物人も出たが、決まって一人の時にしか出なかった。地主も恐ろしくなり坊さんを呼んで祈祷してもらったところ、その夏限りで襲われる人もなくなったという。
現在、“蛇田の幽霊”に関する新聞記事までは調査できておりませんが、発見次第、更新致します。
しかし中華服の幽霊というのがなんとも珍しい。
◯参考文献
高木誠治『玉名の民話』高木誠治 1979年3月
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