ワンワン坂【ワンワンザカ】
◯伝承地
玉名郡菊水町江栗(現・和水町)
◯概要
江栗の部落の農家に隣村から嫁に来たが、働き者であったが菊池川沿い険しい急坂の重労働に堪えられず、ある日家人にも告げず、身の回りの荷物を風呂敷に包みこの坂をワンワン泣きながら登って行ったという。嫁が居ない事に気がついた夫は急いで追いかけ坂の登り口まで行ったが、「ワーンワーン」という嫁の気の毒な泣き声の余韻のみがいつまでも残り、引き止めることを諦めたという。
それから農夫がここを通る時、ちょっとした物音を立てるとワーン、ワーンと嫁の鳴き声に似た音が聴こえるようになり「ああ働き者の嫁さんの泣き声がする」と言い、この坂をワンワン坂と呼ぶようになったという。
◯参考文献
高木誠治『玉名の民話』高木誠治 1979年3月
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