塩買い阿弥陀【シヲカイアミダ】
◯地域
◯概要
俗称迎日山の山中に、誰がいつ建てたかも不詳で、住僧も檀家もいないお堂がある。この堂の脇にある椎の木を阿弥陀如来といっている。
ある年、国内に飢饉があり、五穀は実らず、人々は大変苦しんだ。特に食塩の不足は甚だしかった。ところが、阿弥陀如来は村民の苦しみを救わんと、一夜旅僧に姿を変えて、遠く海原を越えて、ある塩問屋に行き、阿弥陀堂まで運搬してくれるように頼み、その見本として若干の食塩を紙に包んで持ち帰り阿弥陀堂へ置いた。程なくして、大量の食塩を阿弥陀堂に商人が運搬してきたが、注文した住職らしき人は居らず、受取人もいなかったので困っていた。このことを村民に相談すると、それでは一応私たちが代人となって受け取りましょうということになった。受け取った村民たちは、これは阿弥陀さんのお助けであると悟り、その食塩を分配して、蘇生の喜びをなしたという。
◯参考文献
『管内実態調査書.熊本編』熊本県警察本部警務部教養課 1961年
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