狐長者【キツネチョウジャ】
◯地域
◯概要
下浦村の某家、これは現在天草で1、2を争う金持ちと言われている。この家が金持ちになったきっかけの話である。
某家はもと代々塩売りを商売としていた。
ある朝らこの家の主人が海岸を通っていると、1匹の白狐に出会った。狐は人間にあったので殺される事を恐れ、助けを乞うた。しかし主人も、自分は猟師ではないからと逃してやった。それから2、3日して、主人の夢に先日の白狐が現れ「今、南の方の村では塩がなくて困っているから早く商いに行け」と教えた。
早速行ってみると、牛深では塩がなくて困りきっていた。そこで主人は思い掛けない儲けを得た。それからというもの、トントンと身代が増えて大金持ちになった。だから白狐を今でも守り神として大切に祀っている。
◯参考文献
濱田隆一『天草島民俗誌』郷土研究社 1932年
Comments