人情淵の大蛇【ニンジョウブチノダイジャ】
◯地域
◯概要
ある家に2人の美しい姉妹がいたがいて、ふたりはある一人の少年を恋慕っていた。しかし、二人は姉妹でありながらそれぞれの姉・妹を恋敵と思う事で悩み苦しみ、時が経つにつれて世間からも非難されるようになった。
こうした状態の中で次第に居づらくなった姉妹は、とうとう耐えられなくなり、川へ身投げしたのである。すると、澄んでいた川の水は濁り、川底には大蛇が棲むと言われるようになった。あるものは大蛇が水面に浮き、ある者は岩にとぐろを巻いているのを見たという。こうしてそこは恐れられ、そこに近づく者は居なくなったという。
それから何年か経ったある日、逞しく成長した青年が不猟でとぼとぼと帰る途中と帰る途中、しらす坂まで来ると鵜が二羽水面に浮いていたので、青年は一羽の鵜をめがけて矢を射た。矢が命中したにもかかわらず、鵜は水中に涼んだまま浮いてこなかったのである。そして数日後の大洪水の時、大蛇の死骸が下流に流れ着き、鵜は大蛇の化身かと騒がれた。
それからまた数日後、この青年が人情淵を通ると大蛇が後ろから追ってきて、青年を飲み込もうとした。そこをたまたま通りがかった松尾部落の人が駆け付けるとすぐ大蛇は姿を消したという。
◯参考文献
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