杵小僧【キネコゾウ】
◯地域
菊池市原
◯概要
雪が深々と降り出し、野原も山も一面の銀世界になると、村へ出てくるという。
伊野の東南に「杵小僧渕」という気味の悪い渕がある。
昔、大雪の降る晩に村の者が、その「杵小僧渕」のそばを通ったら、妙な形をした化け物が、川の下へと飛んで行くのを目撃した。とにかく驚き、ガタガタ震えながら村に帰った。どうしたのかと聞くと「とにかく、餅を搗く杵の様な格好をした動物だった」と言うので、そこを杵小僧渕と名付けた。
また、昭和にも目撃例があり、やはり大雪の降る晩、村の者が隣村に用事があり行き、丁度村の入口の眼鏡橋に差し掛かると、向かうの竹藪の中に杵の形をした動物が飛んでいくのを見たという。途端に全身に悪寒が走り、気持ち悪くて堪らなかったという。
今でも子供が泣き止まぬと、「いつまじでん泣きよると、戸口表にゃ杵小僧ン来とるぞ」「そら、泣くと杵小僧ン山ン上かる出てくるぞ」などと言って叱るという。
◯参考文献
菊池市高齢者大学編著『菊池むかしむかし』図書出版青潮社 1978年
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