権兵衛【ゴンベエ】
◯地域
◯概要
現在でも丸島付近では「権兵衛が来る」とか、又は「権兵衛にかかりはせんか」などと言葉を交わす。江口金蔵(80歳)の証言によれば、幼い頃父母たちから以下の伝説を聞いたという。
その昔、旅人で沢山のお金を持った権兵衛という商人が丸島の江口伝三郎という人の家に一夜の宿を求めた。
その晩権兵衛は何者かに殺害されて、現在の権兵衛墓の所に死体が捨ててあった。権兵衛が殺害されてから、江口家は不幸が相次いで死亡し絶滅してしまった。江口一家の滅亡はその権兵衛の恨みであると考え、部落の民が現在の権兵衛墓を建て、その霊を慰めたという。
澤村伊智の『ぼぎわんが、来る』に似た印象を持ちますが、来て何をするのか、何が起こる中については言及されていません。そこのに不気味な余白があるのが良いです。
一方で、「権兵衛にかかりはせんか」という言葉も残っています。「かかる」とは「罹る」つまり、なんらかの症状が出るということでしょう。
口伝される伝説と併せて考えると、権兵衛だったものが来て祟り、祟られるとなんらかの病的な症状が現れる。というのが妥当でしょうか。
◯参考文献
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