袋池の大蛇【フクロイケノダイジャ】
◯地域
◯概要
昔、袋池の傍に米屋があった。そこの娘は町や村でも評判の美人だったが、なかなか良い婿が来なかった。両親は家が金持ちでないことが理由であると思い、米を量る升に細工をして金を儲けるようになった。心が優しい娘は、そんな両親を見て心を痛めていた。
そんなある日、娘は袋池に米を研ぎにいった時、足を滑らせて溺れてしまった。しばらくして池に浮いている娘を見つけた村人たちが、娘の死体を引き上げようとすると、娘は大蛇に変身して池の中に消えてしまった。両親は嘆き悲しみ「あの子が大蛇になったのは、自分たちが人を欺いた報いだろう。すまないことをした。」と泣きながら升を燃やし、その池の淵に祠を建て、娘の魂を弔った。
娘が死ぬ前は、風が強く吹く季節は、池の面は木の葉で埋もれるのが普通だったが、大蛇が棲み始めてから広い水面には木の葉一枚浮かないようになった。またある朝、村人が池に来てみると、若い女が水面の落ち葉をせっせと掃いていたという。「あれは娘大蛇に違いない」と村人は噂し、朝娘が水面を掃く姿を見ると目が潰れると、誰も明け方には池に行かなくなったという。
また、池は元は美しい水であったが、ある時村人が魚を取ろうと網を打つと池の大蛇が怒り暴風雨を起こしたので、それ以来緑色に濁るようになったという。
一方で、この池の大蛇は対岸島原の池の大蛇と縄張り争いを起こし、両雄は中間の海で対決することになり、海中で大格闘の末噛み合ったまや死んだ。海は血の海に変じ、血々岩灘と呼ばれ、今の千々岩灘になったという言い伝えも残っている。
真逆な印象の伝説が、両方残る話ですね。
◯参考文献
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