スグリ藁【スグリワラ】
◯地域
◯概要
昔、平井村の上人原(ショウニンバル)に、スグリ藁という狐がいた。スグリ藁に化けるのが一番得意だったのでこの名で呼ばれた。
ある時、寺の坊さんが上人原に仏さんの花を採りに行った。ちょうど長洲の魚売りが関の町へ行くのにここを通りかかった。立派な和尚さんが歩いているのを見ると「スグリ藁が今日は和尚さんに化けているんだな」と思い、魚籠から鯛を1匹とって、和尚さんの方に投げた。それからここの原を上人原というようになった。
この狐の名前の由来となった「スグリ藁」の説明が、能田太郎によって以下のように加えられている。
“スグリ藁とは藁の外皮を除いたもので稲扱ぎの後、これを干すため、田の畦に立て比べて置く。”
藁すぐりという農具を用いて、選別した藁のこと。これに化けるのが上手だったというのは、地味というかなんというか。
◯参考文献
能田太郎「玉名郡昔話🉁」『昔話研究⑷』民間伝承の会 1935年
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