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金次郎狐

金次郎狐【キンジロウギツネ】


◯伝承地

玉名郡南関町


◯概要

 南関町、大字関町鷹の原から長谷にかけて金次郎狐が住んでいた。昔、村人が町から油揚げを買って帰る途中にこの鷹の原の参道を通りかかると、化かして油揚げを取っていた。ある日、町へ行った百姓が、荷物を肩にかけ、着物の尻をからげた変な恰好で、そば畑の中を用心深そうに歩いていた。野良仕事をしていた百姓が声をかけると「この川は深いなあ」と言いながら、如何にも水中を歩くかの如くそば畑を渡っていった。その時、草陰で金次郎狐がにったり笑っていたという。


 他にも別の話が伝わる。魚売りが鷹の原の参道を通りかかると、木の枯れ枝に見た事もない綺麗な鳥が、羽を痛めて止まっていた。魚売りは、急いで笊を下し、綺麗な鳥を生け捕りにしようとしたが、中々捕まえることができない。とうとう鳥の姿を見失い、諦めて笊のところに戻ると、中には魚一匹入っていなかったという。これも化けた金次郎狐にしてやられたのだという。


 また金次郎狐について、「ずきぼんさん、ずきぼんさん、よんべの霜夜で今朝立った。金次郎さん、金次郎さん、大根一本かませんか。」というわらべ歌が今でも歌われている。



 

◯参考文献

熊本県小学校教育研究会国語部会編『熊本の伝説』日本標準 1978年1月

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