お菊殿【オキクドノ】
◯伝承地
八代郡宮原町(現・氷川町)
◯概要
昔、城にお菊という老狐が住んでおり、日頃から恐れられていた。
大正時代、栫の桑原の某駐在巡査が青年たちを動員して兎狩りを催した。城の平に網を張って追い上げてみると、このお菊がかかった。一度は逃がし、他の山を追ってみたが兎一匹かからない。血気にはやる若者は、面白半分にお菊狩りを思い立ち、住処の穴に火をくべて、出てきたところを捕え殺した。祟りを恐れ、中園の裏薮に吊るしていたが、旅の者が来て所望し四円ばかりで買っていったので、青年たちは大喜びで祝杯を挙げた。
その直後から中園に腸チフスが流行し、次々と倒れ、二、三人死亡するに至った。部落の人々は、これはお菊殿の祟りだと恐れ、お菊殿の霊を弔うために、現在の地にお菊稲荷大明神として祀ったという。
◯参考文献
『宮原の民俗』
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