赤児抱かしゅ【アカゴダカシュ】
〇伝承地
熊本県熊本市西区横手
〇概要
横手三丁目の花岡山北側麓に強力で知られた横手五郎の屋敷跡があり、その付近に湧水井戸がある。ここは五郎が産湯として使ったというので”産女の水”と呼ばれている。
夜ここを通ると悲しい女の声で「赤児抱かしゅ、赤児抱かしゅ」と呼びかけるという。
ある夜、お人好しの喜助という者が通ると、暗闇から白布に赤児をくるんで抱いた女が突然現れたので喜助は立ち竦んだ。すると女は「この井戸の水ば飲むけん、こん児ば一寸抱いとってはいよ」と言うので、喜助は赤児を抱いていた。しばらくして「まだかい」と声を掛けると「すんまっせんもう一寸」と返事だけある。しばらく待っているうちに、次第に赤児は重くなり、道端の石に腰を下ろしているうちに喜助は眠ってしまった。朝目が覚めると、抱いているのは石であり、通行人は「喜助どんな漬けもん石ば抱いとらす」と笑っていたという。
前回は益城町でしたが、今回は熊本市内。
抱いた赤子が段々重くなる話は全国に伝わりますが、実は漬物石でしたというオチがなんともほっこりさせられます。
〇参考文献
新熊本市史編纂委員会編『新熊本市史 別編 第二巻 民俗・文化財』凸版印刷株式会社 1996年3月
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